1012と22の少年と僕(前編)

多分僕らには、見えないものがいくつもあって、でも世界がそこにあることはわかって

ろうそくの数はわからなくても、多分それが綺麗だろうということはわかって

ケーキの味はわからないけど、それがおいしいことはわかって


僕のことはわからなくても、誰か想ってる人がいることがわかればそれでよくて

今日が何の日かなんてわからなくても、そこに鼓動があることを感じられればそれでよくて

あの雲の先が見えなくても、まだ見ぬ地平に夢を馳せればそれでいい


僕と君の鼓動はやっぱりいつか途絶えるだろうけど、そこにいたことを知ってくれる誰かがきっといるはずで


見えないものだらけの僕らはきっと、22歳の少年でいられる

だから僕は自信をもって言えるんだ


そう、これを伝えたかったんだ


僕の言いたかったことそれは……(後編へ続く)